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10年以内に複数の相続が発生した場合の税負担は?【FP花園メルマガ】<2020年12月16日号>

2020/12/16  【メルマガ一覧へ戻る

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10年以内に複数の相続が発生した場合の税負担は?

 

おはようございます、澤田です。

 


短期間に複数の相続が発生してしまった場合、
相続財産の額によってはその都度相続税がかかり
相続人の税負担も大きくなってしまうことも考えられます。

 

結果、財産が急激に減少してしまい、相続人の生活等に
影響が出てしまう場合もあります。

 

このように複数の相続によって税負担が大きくなった場合に、
負担を少なくできる制度がありますので、
今回は制度の内容についてお伝えします。

 


■「相次相続控除」とは?

 

亡くなった方の財産を相続した人が、
その相続からあまり年月が経たないうちに亡くなった場合、
その一連の相続を、相次いで相続が発生したという意味で
「相次相続」と呼びます。

 

また先の相続を一次相続、後の相続を二次相続と呼びます。

 

このような相続が起こった時に、それぞれの相続の際に
相続人が相続税を負担した場合、要件に当てはまれば
後の相続税の負担を軽減できる制度が「相次相続控除」
となります。

 

ではどのような要件に当てはまれば相次相続控除を
受けることができるのでしょうか。

 


■要件を満たせば相続税の軽減が

 

相次相続控除を受けるには、次の要件を満たす必要があります。

 


1.10年以内に2回の相続が発生

 

一次相続と二次相続が10年以内に起こった場合です。

 

ちなみに二次相続の後に三次相続が発生した場合には、
この2つの相続の期間を見て10年以内であれば、
条件にあてはまることになります。

 


2.次の3つの条件に「全て」あてはまる場合

 

(1)被相続人の相続人であること
適用対象者は相続人に限定されていますので、
相続の放棄をした人及び相続権を失った人が
たとえ遺贈により財産を取得しても、この制度を
利用することはできません。

 

(2)その相続(二次相続)の開始前10年以内に
開始した相続(一次相続)により被相続人が
財産を取得していること

 

(3)その相続(二次相続)の開始前10年以内に
開始した相続(一次)により取得した財産について、
被相続人に対し相続税が課税されたこと

 


つまり二次相続の被相続人が、一次相続の際に財産を
取得して相続税を払っていた場合に、二次相続の
相続人の税負担を軽減できる、という制度です。

 


■どのようなケースで活用できるのか?

 

この制度は、先の相続で相続税を払っていることが
要件となっていますので、夫死亡時に配偶者控除を
活用して税負担が無かった妻の相続の際は活用できません。

 

例えばその妻の父が10年以内に亡くなった時に妻が
相続税を払っていた場合や、別のケースでは
兄弟姉妹しか相続人がいなく、相続が発生したごとに
税負担が発生した場合等に活用することができます。

 

なお税負担が軽減額は、下記の式によって計算された額となります。

 


A×C/(B-A)[求めた割合が100/100を超える場合は100/100とする]×D/C×(10-E)/10

 


A:今回の被相続人が前の相続の際に課せられた相続税額
この相続税額は、相続時精算課税分の贈与税額控除後の
金額をいい、その被相続人が納税猶予の適用を
受けていた場合の免除された相続税額並びに延滞税、
利子税及び加算税の額は含まれません。

 

B:被相続人が前の相続の時に取得した純資産価額
(取得財産の価額+相続時精算課税適用財産の価額-債務及び葬式費用の金額)

 

C:今回の相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって
財産を取得したすべての人の純資産価額の合計額

 

D:今回のその相続人の純資産価額

 

E:前の相続から今回の相続までの期間(1年未満の期間は切り捨て)

 


となります。

 

複雑な計算式ですが、直近で亡くなった被相続人が、
その前の相続の時に払った相続税のうち、

 

(今回の相続からその前の相続までの経過年数)×10%

 

を減額した額を、今回の相続税から控除する
という制度となっています。

 

つまり、今回の相続からその前の相続までの年数が
あまり経ってない場合には控除額も大きくなりますので、
不幸にして相続が続き、各項目に該当する場合には
この制度を活用するメリットがあります。

 

なおこの制度は申告をしないと適用されない制度ですので、
活用する際は「相次相続控除額の計算書」の提出が必要となります。

 

 

 

 

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